ラインナップ NO.56                              2011.6.8

鉄道省昭和初期の貨車たち
1.ワ2200 初期型(シュー式)
2.ツ2500 (シュー式)前期型/後期型
3.レ2900 初期型(1段リンク)
4.レ2900 後期型(1段リンク)

奥からレ2900後期、同じく前期、ツ2500後期、ワ2200初期

 10年程前に大正期に製造された代表的な鉄道省の客車と貨車(中型木造ホハ12000系、大型木造ナハ22000、ワム1/3500、トム1/5000/16000、スム1)を製品化、発売致し大変なご好評を頂きました。以降長く温め続けてまいりました企画がいよいよ形になりつつあります。5年程前に模型化図面が完成していたオハ32000系(オハ31系)の製品化もスタートしておりこれは2012年の発売予定です。それより一足先に今回昭和初期の貨車のシリーズ第一弾として4つのプロトタイプが発売になります。形式は10t積有蓋車ワ2200初期型、通風車ツ2500、氷槽式冷蔵車レ2900初期型、同じく後期型です。



 ワ2200は大正期に製造されたワム1、ワム3500から昭和4年製造のワム21000と続いた荷重15t積み有蓋車の系譜が昭和の不景気により止む無く製造を中断。昭和5年より変わって製造された10t積み小型有蓋車です。昭和13年よりワム21000を改良したワム23000の製造開始後も荷主の需要により以降も製造されました。ワ2200には扉にXの補強が付いた初期型、昭和9年以降製造の扉のフラットな中期型、更にリブが2本付いた後期型タイプと大きく三つに分けられます。初期型とそれ以降のものでは扉の他下廻りの台枠や台車の形状がまったく異なっています。今回の製品化はXの補強が特徴の初期型と致しました。戦前の鉄道省時代、戦後の国鉄時代と長く使用されましたがワム90000に代表される標準的な大きさの貨車に混じって一際小さなワム22000の存在感は逆に大きなものが有ると感じます。凹凸編成の貨物列車、昔の日本ではどこでも見られた懐かしいシーンではあります。



X型補強のドアが印象深いワ2200初期型

小さいながらも車幅は大型車と同じ寸法です。

ABブレーキシステムを含めスーパーディテールで再現。

作り込まれたフレームとブレーキシステム。



 昭和7年製造の通風車として初めての鋼製車ツ2500もワ2200同様10t積小型車として製造された。以降ツ4000/ツム1/1000と続くお馴染みの通風口はこの形式からのもの。製品は通風口をただの凹ではなく、そのR表現と更には開口部スリットまでも再現しています。これは本当に見物です。床下にも通風口の表現を加えています。

ツ2500(写真のサンプルは後期型です)





通風口のシースルーは一考の余地があり改良いたします。

正確に形作られた屋上ベンチレーター。





床板の通風口まで表現致しました。



 昔から何故か好きで何時かは製品化したいと願っていたのが銀色の冷蔵車レ2900です。アメリカのパシフィック・フルーツ・エキスプレス等に代表されるカラフルなリーファー(冷蔵車)は彼の地では様々なタイプがそのカラフルさ故に製品化されています。当店でもプラスティック、真鍮モデルを問わず色々取り扱ってきましたがアメリカの木造リーファーとそっくり(完全なパクリ)なドアのひんじを持つのが天井氷槽式冷蔵車レ2900です。これは本当に造ってみたかったモデルで私達にとってはまさに夢の実現です。さてレ2900は初期、中期、後期と3つのタイプに分かれますが屋根R、車体寸法、台枠、台車から細かなディテールに至るまで形態的には全くの別物です。今回は初期車と後期車の2つを製品化致します。

レ2900前期型



このドアのひんじが魅力的でどうしても製品化したかったプロトタイプです。

正確に再現された屋上の氷槽のハッチとランニングボード。

レ2900前期型はABブレーキシステムを装備。




レ2900後期型



レ2900も中期型を経て後期型まで完全に三つの異なったグループを形成しています。



レ2900後期型はKCブレーキシステムを装備。



床下下部が車体中央に向かって傾斜している事まで再現!



蒸気機関車や旧型電気機関車の牽引する貨物列車には欠かせない存在の銀色の冷蔵車です。

屋根のRが大きく異なる為、側板の高さも異なっています。
台車やフレームも異なったディテールです。

屋根Rの違いが良く分かります。その他手摺り位置やエンドビーム形状まで全くの別物です。

屋上ではハッチの形状と大きさ及び取付位置が全く異なります。ランニングボードも同様です。



床下ディテールもブレーキシステムは当然の事ながらフレーム、台車、ドレインのパイプのディテールまでもが全く異なります。



以上述べてきたようにこれら四つのモデルは車輪以外の共通パーツは一つもありません。4機種共写真でお分かりの如く貨車とは言え超絶的モデルです。

上記の写真は10年程前に製作発売した大正時代の代表的な貨車です。これらと今回の昭和初期製造の貨車を組み合わせて楽しんで頂く事が今回の企画のベースです。


前回製品と並べた時に同一レベルの仕上がりとなるよう特に気を使いました。但しディテールは下廻りを中心に大幅に増えました。

ワ2200を北海道の専用線ムードで・・・。



ローカル私鉄への乗り入れ設定でワブと組ませます。この凸凹感がいいムードを醸し出します。


昭和の貨物列車を一部再現。






鉄道省昭和初期の貨車たち
シリーズとして第2弾、第3弾、第4弾と発売していきます。

第2弾 ワム21000、カ1500前期型、後期型、レ5000、ワフ3300
ワム21000は昭和4年に作られた標準15t積み貨車で以後に作られたワムの基になった形式。これもX型補強のドアが特徴ですがフレーム形状も後のワム23000とは異なります。
カ1500は昭和8年から作られた小型の家畜車でサイドの板の貼り方と補強の入り方が前期、後期で異なります。
レ5000はレ2900に続いて昭和11年から製造された冷蔵車で無氷槽車です。故に屋上にハッチは無く側面ドアの天地方向が大きくなっています。レ2900と共に4輌程貨物編成に組み込むと中々見応えがあります。
ワフ3300は戦前昭和の貨物列車には必要かくべからずな存在。編成の両端には必ずワフ3300が付いていました。これが入ると貨物列車の前後が引き締まります。

第3弾 ト20000、トラ1
大正期の観音扉付きのトム1、5000、16000に引き続き製造された昭和初期の無蓋車2つを製品化致します。この2形式も大正期製造の無蓋車と組み合わせて必ず貨物列車に入っていたものです。ト20000はアオリ戸の補強が4分割の初期車と5分割の増備車と2タイプ製品化致します。