モーターの事      2015.9.2
当店では実感的な走行を目指して一部を除きスイス ファウルハーベル・コアレス・モーターを使用してきました。完成品模型に組み込むには非常に高価なモーターですが20年間使用し続けてきました。マクソン・モーターはそれより少し安価ですが静寂性においてファウルへーベルに軍配が上がります。しかしここ数年の円安でこのモーターの単価がかなり上昇してしまいました。前回のDD51、EF65,そして今回のDD51と30%程の価格上昇となっていました。今年の春EF64に搭載するモーターを発注する少し前、スイス政府がスイスフラン高を押さえる目的で行ってきたスイスフラン売、ユーロ買いを断念、世界ではスイスフランが一夜にして暴騰する事となりました。さすがにこれには頭を抱えてしまいました。ファウルハーベルモーター日本の代理店においてEF64,65,DD51に使用の1331Wタイプを1個注文すると¥19,000になります。話はEF64だけではなく同時に製作を進めているDD12、DD41/90、8850、ED12にもコアレスモーターを積む事でもあり国内メーカーで使用出来るものはないか検討してみる事になりました。ただEF64のモーターは至急必要なので時間の余裕はありません(コアレスモーターは国外、国内共発注前に代金を全額支払う事になっており支払確認後にモーターの製造を開始します。モーターが納品されるまで短くて2カ月、通常2カ月半も掛かってしまいます。スイスの場合バカンス・シーズンが間に入ると更に遅れます)。丁度国内大手C社にて新規製作したばかりの12mm径コアレスモーターを入手、ATM社にてDD51に積んでテストを行いました。結果はモーターの振動が余りにも大きくとても使用する事は不可となりました。
 次はシチズン・マイクロ社の1328Wを取り寄せ同じくDD51に搭載しましたがブラシがコンミュテータをこする音の質に問題が。音そのものは小さいながら高周波のように高い音が発生します。メーカー側と何とかこの音を消せないものかと相談しましたがブラシの材質の問題で難しいとの事。ファウルハーベルモーターはブラシに高価でも柔らかな金を使っているので音が出ても耳触りではないようです。ただ不思議な事にED12,DD12,8850に使用する目的で入手した同じくシチズン・マイクロの1320にはそのような問題もなくこのモーターの使用は即決となりました。しかし同じ材質で1328と1320でなんで?とメーカーの担当の方と少し悩んでしまいました。この他にもED12に積む目的で他メーカーの2020(I社で売っているもの)を入手。単体では回した場合非常に静寂でこれはと思いましたがフライホイールを付けてED12に積んだところモーター軸のガタが大きくかなり大きな騒音が発生してしまい導入を断念する事となりました。結局EF64は今まで通りファウルハーベルモーターを使用する事となりました。今更モーターのメーカーを変えるのでは当店のモデルのイメージが悪い方向へ変わってしまう事にもなりかねません。そして今度はEF65用モーターの発注期日が刻々と迫って来ています。




<コアレスを使う理由>
1)例えば機関区、貨物ターミナル等で機関車が構内をゆっくりと、しかし大きなパワー感を秘めて移動して行くその静かなる迫力はコアレスモーターでなくては再現できません。小山が動くようなひたひたとした迫力。もちろん今ではご理解して頂いているお客様は大勢いらっしゃいます。1mのレールが有れば違いは直ぐに解ります。
2)一周何十メートル、或いは100m近くもあるレイアウトで金属製客車12〜15輌を牽引させた場合カンモーターでは目に見えないような微細なアップ・ダウン勾配等でもガクンとスピードが落ち電圧を大きく上げないと速力を維持する事ができません。逆に今度は微細な下り勾配に差しかかるとそのままの電圧ではいだてんの如くのスピードになってしまいます。コアレスモーターではそのような事にはなりません。パワーが全く違うのでそのままのスピードで勾配を上がり、下り勾配では機関車自身が重石となり滑り下りてくるような事にはなりません。又当店のモデルに使用しているギヤーボックスは他の日本のメーカーのギヤーシステムとは全く異なるものでウォームギヤーを使用していません。ヘリカルギヤーで減速して行き最後の段にギヤレシオ1対1となるコースティング効果抜群のスパイラルギヤーが入ります。このギヤーシステムにコアレスモーターを組み合わせた機関車をレールに乗せて手で機関車を押すと車輪が回転します。それだけストレスが小さい訳で当店では更にモーターにフライホイールを取り付ける事でモーターの回転を更に安定させています。一つの長大な編成が微細なスピードの揺れもなく氷上を滑るように移動して行く様は実物を見るが如くのリアルさで美しい。

<独り言>

キャノンのEN22なら2000円で済むものを高価なコアレスを積んで問屋に卸したのではモーター代はその分全くマイナス、大損となってしまう今日この頃。以前は金取り主義だとかこんな訳の分からんものを使用されたのでは感電等PL法に引っかかる(最古参模型誌の記事)とか又コアレスモーターはモーター軸のスラスト方向の力に弱く直ぐに壊れるとか今まで色々と批判も言われて来ましたがコアレスを当店のモデルに積むようになって20年、一つも走らせていて壊れたと云う話は聞いた事がありません。本当のところどうなんでしょうか?実際ヨーロッパのコアレスモーターのメーカー、ファウルハーベル、エスキャプ、マクソン等は鉄道模型に使用してもらえるよう昔からメーカーに働きかけています。